synapse12月号　空き家をどうする？──今こそ考えたい5つの選択肢（後編）

前編では、空き家を放置するリスクや、早めに考えることの重要性についてお伝えしました。ここでは、空き家の5つの選択肢をもとに、それぞれの特徴と考え方を整理してみましょう。

① 現状維持

何もせずそのままにしておく方法です。手間はかかりませんが、固定資産税は発生し続け、建物の劣化や近隣トラブルのリスクがあります。また、法改正により何もせずに放置し続けることで「管理不全空き家」と判断されると税負担が増える恐れもあります。

② 空き家管理を依頼

最近増えているのが、専門業者に管理を委託する方法です。定期巡回・清掃・報告などを任せることで、建物の状態を保ちながらリスクを抑えられます。
「まだ売る気はないが、放置はしたくない」という方に最も適した選択肢です。

③ 賃貸として運用

リフォームや修繕を行い、貸家として再利用する方法です。家賃収入が得られる反面、修繕費や入居者対応などの負担があります。共同住宅と違い、一戸建ては音の問題などもなく、一度借りてもらうと比較的長くお住まいいただけるのが特徴です。 管理会社に委託すれば、運用の手間を軽減しつつ安定的な収益化も可能です。

④ 建て替え

立地条件が良ければ、賃貸住宅やアパートへの建て替えも検討できます。
初期投資は大きいものの、資産価値を維持しながら次世代へ継承する方法です。

⑤ 売却

手放すことで管理負担から解放され、資産を現金化できます。ただし、先祖代々の土地や親から引き継いだ実家での「思い出」を手放す葛藤が伴う場合もあります。

多くの方が「すぐには決められない」と感じます。しかし、管理を通じて建物を守ることで、将来の選択肢は大きく広がります。
定期的な巡回やメンテナンスを続けていれば、「いざ売却・賃貸に出そう」と思った時にスムーズに動けるのです。

空き家の管理は専門知識を要します。
建物の点検、近隣への配慮、税金の確認など、すべてを個人で行うのは大変です。
だからこそ、信頼できる管理会社に相談することが、最も現実的で安心な一歩となります。

「すぐに決められないけれど、このまま放っておくのは不安」
そんな方は、まずは管理会社への相談から始めてみてはいかがでしょうか。

空き家を「負担」ではなく、「未来につながる資産」として見直すきっかけになるはずです。