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金利上昇局面において、賃貸経営のオーナーが直面する最大のリスクは、「返済額の増加によるキャッシュフロー(手元資金)の悪化」です。日本でも長らく続いた低金利時代が転換点を迎えつつあります。政策金利は約30年ぶりに0.75%まで引き上げられ、それに伴い長期金利も2%前後まで上昇しています。
今後も金利が段階的に上昇していく可能性を踏まえると、賃貸オーナー様にはこれまで以上に「金利耐性」を意識した経営判断が求められます。しかし、漠然とした不安を抱えるのではなく、自身の物件や財務状況を正確に把握し、数値に基づいた冷静な対策を講じることで、リスクをコントロールすることは十分に可能といえるでしょう。
今回は前編・後編にわけて、金利上昇局面においてオーナー様が優先的に取り組むべき対策を、3つの視点から整理します。
1.財務面の対策(ローンと資金管理)
まず取り組むべきは、現在の借り入れ状況を正確に把握し、金利上昇に耐えられる体勢を整えることです。
ストレスチェック(返済シミュレーション)の実施
金利が上昇した場合に、毎月の返済額がいくら増加し、キャッシュフローがどの程度圧迫されるのかを事前にシミュレーションしておく必要があります。「今は問題ない」ではなく、「どこまで耐えられるか」を数値で把握することが重要なのです。
固定金利への借り換え相談
すでに金利上昇が始まっているため、「今さら固定金利へ切り替えるべきか」という判断は慎重さを要します。しかし、さらなる上昇が見込まれる場合には、一定期間の固定金利へ切り替え、支払額を確定させることも有効なリスクヘッジとなります。
繰り上げ返済の検討
手元資金に余裕がある場合、元金を減らすことで金利上昇の影響を抑えることができます。ただし、修繕や突発的な支出に備えた資金を残しておくことが前提であり、現金を使い切るような返済は避けるべきです。 金利上昇局面における繰り上げ返済は、「手元の現金を減らしてでも、将来の利息負担を確実に減らすか」という判断になります。賃貸経営において重要なのは、単に借入残高を減らすことではなく、「キャッシュフローの安定」と「将来の投資余力」とのバランスなのです。
繰り上げ返済には主に以下の2つの手法があり、目的に応じて使い分ける必要があります。
・返済額軽減型
返済期間は変えず、毎月の返済額を減らす方法。 → 毎月のキャッシュフローが即座に改善するため、月々の手残りを増やしたいオーナー様向き。
・期間短縮型
毎月の返済額は変えず、完済時期を早める方法。 → 利息の総支払額を最も減らすことができ、早期完済や利息負担の最小化を重視するオーナー様向き。
後編では、「繰り上げ返済すべきか」の判断基準から解説いたします。